この両の眼で見える範囲、
この両の耳で聴ける範囲、
この両の掌で触れる範囲
あたしの体が感じる範囲
そこまでしか世界は広がっていない
そこから先はなにもない
ただの闇です
何が起こっていようとそれはあたしの知る世界じゃないから知る筈もない
今もほら、あたしの家の台所で
向って右側のコンロでお湯が沸いたことなど
知る人はこの世にあたししかいないんだから、
だから、私が知りえる過去も それを知っている筈のみんなが
「おまえの妄想だよ」と片付けてしまえば、あたしは肯く
記憶だって日々美化されて
当時のあたしにとってくずかごの中の様だった毎日は
今じゃ素敵な宝物なんてことすら言えてしまうのだから
何処が何が正しいのかなんてわかりません
誰かがきめることなのでしょうか
私は誰かに決められて間違っているんだろうか
若しくは正しいんだろうか
なにもわからない
わからないという便利な言葉で曖昧に私の現世をふやかす
今のあたしにはそれで充分
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